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2024.10.17
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フリースクールで何を学べるの?

不登校面談

「フリースクールってどんなところ?」「学校とは何が違うの?」と疑問をお持ちの保護者の方や、学校生活に悩んでいる子に向けて、フリースクールでは具体的にどんなことを学べるのか、その魅力や種類、選び方のポイントまでを分かりやすく解説します。この記事を読めば、フリースクールが単なる学習塾とは違う、子どもたちの個性や可能性を広げるための場所であることがご理解いただけることでしょう。実際にフリースクールに通っている生徒の声や、不登校支援の実績が豊富なNPO法人などの事例も交えながら、フリースクール選びの不安や疑問を解消します。

目次

1. フリースクールとは?

1.1. 「不登校の経験がある」「学校に馴染めない」など、様々な理由でフリースクールに通う子どもたち

フリースクールとは、学校教育法で定められた学校以外の教育機関で、子どもたちの多様な学習ニーズに応えることを目的とした場所です。文部科学省は、フリースクールを「学校外の機関として、不登校の子どもたちのための学習支援などを行う事業」と定義しています。(参考:文部科学省
フリースクールに通う子どもたちの背景は様々です。主な理由としては、以下のようなものがあります。

 1.1.1. 不登校

学校に馴染めず、登校することを困難を感じている子どもたちにとって、フリースクールは安心して過ごせる居場所となります。そこでは、学習の機会だけでなく、心のケアや社会とのつながりを取り戻すためのサポートも受けられます。

 1.1.2. 学校生活への不適応

学校の人間関係や学習環境に馴染めず、生きづらさを感じている子どもたちもいます。フリースクールでは、少人数制や個別指導など、一人ひとりのペースに合わせた学習環境を提供することで、子どもたちの学校生活への適応を支援します。

 1.1.3. 発達障害などへの対応

発達障害などの特性を持つ子どもたちにとって、従来の学校システムでは、学習や生活に困難が生じることがあります。フリースクールの中には、発達障害に特化した専門的な支援体制を整えているところもあり、子どもたちの個性や才能を伸ばすためのプログラムを提供しています。

 1.1.4. 独自の価値観や学習意欲

既存の学校教育では満たされない、独自の価値観や学習意欲を持つ子どもたちもいます。フリースクールでは、子どもたちの興味関心に基づいた多様な学習プログラムを提供することで、子どもたちの自主的な学びを促進します。

フリースクールは、子どもたちの様々な状況やニーズに合わせて、柔軟かつ多様な教育を提供しています。従来の学校教育の枠にとらわれず、子どもたちの個性や才能を最大限に引き出すことを目指しています。

1.2. フリースクールは学校教育に代わるもの?

フリースクールは学校教育に代わるものではなく、あくまで学校以外の教育の選択肢の一つです。学校に通いながらフリースクールを利用する子どももいれば、フリースクールを拠点に学習を進め、高校卒業資格取得を目指す子どももいます。それぞれの状況や目標に合わせて、フリースクールを活用することができます。

項目学校フリースクール
設置根拠学校教育法学校教育法以外の法律に基づく場合もある(例:児童福祉法)
目的教育基本法に基づき、心身の発達に応じて、知識及び技能を習得させ、思考力、判断力、表現力その他の能力を育成し、主体的に判断し、責任感をもって行動する態度を養うとともに、個性の伸長を図り、職業又は実際生活に必要な能力を育成し、文化の創造、伝承、発展及び世界の平和と人類の福祉の向上に貢献できるようにすること多様な教育の機会の確保、不登校児童生徒への学習支援など
卒業資格あり(小学校、中学校、高等学校など)なし(ただし、高等学校卒業程度認定試験の受験資格を得るための学習支援を行う場合もある)
法的義務義務教育期間中(小学校、中学校)は就学義務がある就学義務はない
費用公立学校は授業料無料(ただし、教科書代、給食費などは必要)原則として有料

上記は一般的な比較であり、学校やフリースクールによって異なる場合があります。

フリースクールは、子どもたちにとって新たな学びの場であると同時に、自分自身と向き合い成長できる場でもあります。様々な困難や課題を抱える子どもたちにとって、フリースクールは未来への希望を見出すための大切な場所となっています。

2. フリースクールで学べること

フリースクールは、従来の学校教育とは異なるアプローチで子どもたちの個性や才能を育むことを目指しています。ここでは、フリースクールで学べることを具体的に見ていきましょう。
(参考:不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)国立教育政策研究所

2.1. 勉強

フリースクールでは、子どもたちの学習意欲を高め確かな学力を身につけるための様々な取り組みが行われています。

 2.1.1. 基礎学力から応用力を身につけるための学習サポート

  • 個別指導:一人ひとりの学習進度や理解度に合わせた個別指導で、苦手分野の克服や得意分野の更なる伸ばしをサポートします。学習習慣が身についていない子どもには、学習計画の作成や学習方法の指導も行います。
  • 少人数授業:大人数の授業が苦手な子どもでも、集中しやすい環境で学習に取り組めます。講師との距離が近く、質問しやすい雰囲気も特徴です。
  • 体験型学習:座学だけでなく、実験や実習を通して子どもたちの「なぜ?」「どうして?」を引き出す体験型学習を取り入れているフリースクールもあります。五感を使いながら楽しく学ぶことで、学習内容への理解を深めます。

 2.1.2. 個々のペースに合わせた学習指導

  • 自分のペースで学習:学校のように一斉授業形式ではなく、自分のペースで学習を進めることができます。苦手な部分は時間をかけてじっくりと取り組み、得意な部分はどんどん先に進むことができます。
  • 興味関心を広げる学習:教科書に沿った学習だけでなく、子どもたちの興味関心に基づいた自由研究やプロジェクト学習など、多様な学習機会を提供しているフリースクールもあります。自分の興味関心を追求することで、主体的に学習に取り組む姿勢を育みます。

2.2. 社会性

フリースクールでは、集団生活を通して、社会で生きていくために必要なコミュニケーション能力や協調性を育むことを重視しています。

 2.2.1. コミュニケーション能力を高めるためのプログラム

  • グループワーク:他の生徒と協力して課題に取り組むグループワークを通して、コミュニケーション能力やチームワークを養います。意見交換や役割分担を通して、自分の意見を伝えたり相手の意見を尊重したりすることを学びます。
  • ディスカッション:社会問題や時事問題など様々なテーマについて意見交換を行うディスカッションを通して、自分の考えを論理的に説明する力や相手の意見を聞き取る力を養います。多様な意見に触れることで視野を広げ、多角的な思考力を育むことも期待できます。
  • プレゼンテーション:自分の考えや研究成果をまとめ人前で発表するプレゼンテーションを通して、相手に分かりやすく伝える力や自信を持って発表する力を養います。聴衆からの質問に答えることで、コミュニケーション能力をさらに高めることもできます。

 2.2.2. 集団活動を通して協調性を育む

  • イベントや行事への参加:学園祭や体育祭、遠足などのイベントや行事を通して、他の生徒と協力して何かを作り上げる喜びを経験します。役割分担や共同作業を通して、協調性や責任感を育みます。
  • クラブ活動:スポーツや文化活動など、共通の趣味を持つ仲間と活動するクラブ活動を通して、協調性や連帯感を育みます。目標を達成するために協力したり競い合ったりすることで、達成感や充実感を味わえます

2.3. 自己肯定感

フリースクールでは、子どもたちが自分自身を認め、自信を持って行動できるよう、自己肯定感を育むためのサポート体制を整えています。

 2.3.1. 個性を尊重し、才能を伸ばす指導

  • 個性に合わせた指導:一人ひとりの個性や強みを理解し、その子に合った学習方法や指導方法を取り入れています。得意な分野を伸ばしたり興味関心を広げたりすることで、子どもたちの「好き」や「得意」を育みます。
  • 才能を伸ばす機会:絵画、音楽、演劇、スポーツなど、子どもたちの才能を伸ばすための様々な活動やプログラムを提供しているフリースクールもあります。自分の才能を活かせる場があることで、自己肯定感や自己表現力を高めることができます。

 2.3.2. 成功体験を通して自信を育む

  • 小さな成功体験の積み重ね:学習や活動のなかで小さな目標を立て、それを達成することで子どもたちは自信や達成感を味わうことができます。成功体験を通して自己肯定感を高め、「やればできる」という気持ちを育みます。
  • 発表の機会:自分の作品や成果を発表する機会を設けることで、子どもたちは自信や達成感を味わうことができます。人前で発表することで、自己表現力やプレゼンテーション能力を高めることもできます。

2.4. 将来の選択肢

フリースクールでは子どもたちが将来の夢や目標を見つけ、その実現に向けて歩んでいけるよう進路相談やキャリア教育にも力を入れています。

 2.4.1. 進路相談やキャリア教育

  • 個別進路相談:一人ひとりの希望や適性に合わせた進路相談を行い、進路選択をサポートします。高校進学、大学進学、専門学校進学、就職など、様々な選択肢を提示し、それぞれのメリットやデメリットを丁寧に説明します。
  • キャリア教育プログラム:様々な職業人との交流を通して、働くことへの理解を深めたり、将来の夢や目標を見つけたりするキャリア教育プログラムを実施しているフリースクールもあります。職場見学やインターンシップなど、実際の仕事現場を体験できる機会を提供することで、進路選択への意識を高めます。

 2.4.2. 資格取得や職業訓練のサポート

  • 資格取得サポート:将来の進路に役立つ資格取得をサポートするフリースクールもあります。資格取得のための講座を開講したり、受験対策を行ったりすることで、子どもたちの進路選択の幅を広げます。
  • 職業訓練の連携:就職を希望する生徒に対して、職業訓練校や企業との連携を通して、就職活動をサポートするフリースクールもあります。職業訓練を受けることで、就職に必要なスキルや知識を身につけることができます。

3. フリースクールの種類

フリースクールは、その運営主体や教育方針、対象学年、カリキュラムなどによって様々な種類に分けられます。ここでは、代表的なフリースクールの種類をいくつかご紹介します。

3.1. 体験型学習中心のフリースクール

自然体験や農業体験、野外活動など、五感を使いながら学ぶことを重視したフリースクールです。座学よりも体験を通して、子どもたちの自主性や協調性、創造性を育むことを目的としています。
例えば、自然体験を通して環境問題について考えたり、農業体験を通して食の大切さを学んだりするプログラムがあります。これらの体験を通して、子どもたちは机の上では学べない貴重な経験を得ることができます。

 3.1.1. 体験型学習中心のフリースクールのメリット

  • 五感を刺激する体験を通して、子どもたちの好奇心や探究心を育むことができる。
  • 自然の中で体を動かすことで、心身のリフレッシュを図ることができる。
  • コミュニケーション能力や協調性を育むことができる。

 3.1.2. 体験型学習中心のフリースクールの例

3.2. 進路サポートに力を入れているフリースクール

高校受験や大学受験、就職活動など、子どもたちの進路実現をサポートすることに重点を置いたフリースクールです。学習指導はもちろんのこと、進路相談や面接対策、小論文指導など、きめ細やかなサポート体制が整っています。また、フリースクール独自のネットワークを活かして、企業や専門学校との連携を行っている場合もあります。

 3.2.1. 進路サポートに力を入れているフリースクールのメリット

  • 一人ひとりの状況や希望に合わせた進路指導を受けることができる。
  • 学校とは異なる視点からのアドバイスを受けることができる。
  • 進路選択の幅を広げることができる。

3.3. ITスキルやプログラミングを学べるフリースクール

近年、需要が高まっているITスキルやプログラミングを専門的に学ぶことができるフリースクールです。子どもたちは、ゲーム制作やアプリ開発、Webデザインなど、興味関心の高い分野を通して、実践的なスキルを身につけることができます。ITスキルを身につけることは、将来の進路選択の幅を広げるだけでなく、論理的思考力や問題解決能力など、社会で必要とされる能力を養うことにもつながります。

 3.3.1. ITスキルやプログラミングを学べるフリースクールのメリット

  • 将来性のあるITスキルを身につけることができる。
  • 論理的思考力や問題解決能力を養うことができる。
  • IT業界への就職や起業を視野に入れることができる。

 3.3.2. ITスキルやプログラミングを学べるフリースクールの例

3.4. 芸術や音楽など専門分野に特化したフリースクール

美術、音楽、演劇、ダンスなど、特定の専門分野に特化した教育を提供するフリースクールです。子どもたちは、プロのアーティストや講師から直接指導を受けることができ、高いレベルの技術や表現力を身につけることができます。また、発表会やコンテストなど、成果を発表する機会も設けられており、子どもたちのモチベーションの向上や自己肯定感の向上にもつながっています。

 3.4.1. 芸術や音楽など専門分野に特化したフリースクールのメリット

  • 専門性の高いスキルや知識を身につけることができる。
  • 才能や個性を伸ばすことができる。
  • 感性を磨き、豊かな人間性を育むことができる。

 3.4.2. 芸術や音楽など専門分野に特化したフリースクールの例

分野フリースクールの例
美術アートフリースクール
音楽桐朋学園大学音楽学部附属子供のための音楽教室
演劇文学座付属演劇研究所
ダンスK-BALLET SCHOOL

これらの他にも、通信制高校と連携したフリースクールや、発達障害児を対象としたフリースクールなど、様々な種類のフリースクールがあります。フリースクールを選ぶ際には、子どもたちの個性やニーズ、将来の目標などに合わせて、最適な学校を選ぶことが大切です。

4. フリースクールを選ぶポイント

フリースクール選びは、子どもの未来に関わる大切な決断です。情報収集や見学を通して、その子に最適な環境を見つけていきましょう。

4.1. 教育方針やカリキュラム

フリースクールには、それぞれ独自の教育方針やカリキュラムがあります。子どもの個性や興味関心に合った教育を提供しているかどうか、しっかりと確認することが重要です。

 4.1.1. 教育方針の例

  • 体験学習中心
  • アカデミックな進学指導
  • 芸術や音楽など専門分野に特化
  • 不登校生徒へのケアを重視

 4.1.2. カリキュラムの例

  • 基礎学力の補強
  • 大学受験対策
  • プログラミングやWebデザイン
  • 音楽や演劇の実技

これらの例を参考に、その子に合った教育方針やカリキュラムを持つフリースクールを選びましょう。資料請求や見学を通して、具体的な内容を詳しく聞くことが大切です。

4.2. 子どもの興味関心

フリースクールを選ぶ際には、その子の興味関心を最優先に考えることが重要です。子どもが何に興味を持ち、どんなことを学びたいと思っているのか、じっくりと話し合い、その気持ちを尊重してあげましょう。

 4.2.1. 興味関心を育む環境

  • 好きなことや得意なことを伸ばせる環境
  • 新しいことに挑戦する機会を提供してくれる環境
  • 興味関心を共有できる仲間と出会える環境

フリースクールの中には、プログラミングやアート、音楽など、特定の分野に特化した学校もあります。子どもの興味関心に合致した環境を選ぶことで、学習意欲の向上や自己肯定感を高めることに繋がるでしょう。

4.3. 通いやすさ

自宅からの距離やアクセス方法も重要な要素の一つです。通学に時間がかかりすぎると、子どもの負担が大きくなってしまう可能性があります。また、周辺環境の安全性も考慮しましょう。

 4.3.1. 通学手段

  • 電車やバスなどの公共交通機関
  • 自転車
  • 徒歩

無理なく通学できる範囲にあるフリースクールを選ぶことが大切です。見学の際に、実際に通学する経路を確認しておくと安心です。

4.4. 費用

フリースクールは、学校によって費用が大きく異なります。入学金、授業料、教材費など、事前にしっかりと確認し、無理なく支払える範囲の学校を選びましょう。

 4.4.1. 費用の内訳

項目内容
入学金入学時に必要な費用
授業料授業を受けるために必要な費用(月額または年額)
教材費教材や教科書などの費用
その他施設維持費、課外活動費など

経済的な事情でフリースクールへの進学を諦めなくても済むよう、文部科学省の就学支援金制度や、各自治体の補助金制度なども調べてみましょう。

4.5. 体験入学・見学

多くのフリースクールでは、体験入学や見学会を実施しています。実際に学校に足を運んでみることで、学校の雰囲気や授業内容、教職員の様子などを肌で感じることができます。積極的に参加して、疑問点を解消しましょう。

 4.5.1. 体験入学・見学で確認すべきポイント

  • 学校の雰囲気
  • 授業の様子
  • 教職員の対応
  • 生徒たちの様子
  • 施設や設備

子どもと一緒に参加して、率直な感想を共有することが大切です。また、疑問点があれば、遠慮なく質問してみましょう。

4.6. 口コミ・評判

インターネット上には、フリースクールに関する口コミや評判が多数掲載されています。ただし、情報源の信頼性を確認することが重要です。実際に通っている生徒や卒業生の声、保護者の意見などを参考にすると良いでしょう。

 4.6.1. 信頼できる情報源

  • フリースクールの公式ウェブサイト
  • 文部科学省や各自治体のウェブサイト
  • フリースクール関係の機関や団体が運営するウェブサイト

これらの情報源を参考に、客観的な視点で情報収集を行いましょう。また、複数の情報源を比較検討することで、より正確な情報を得ることができます。

5. まとめ

フリースクールは、従来の学校教育とは異なるアプローチで、子どもたちの個性や才能を育む場所です。勉強だけでなく、社会性や自己肯定感を育むプログラムや、将来の選択肢を広げるサポートも充実しています。フリースクールを選ぶ際には、教育方針やカリキュラム、子どもの興味関心、通いやすさ、費用などを考慮し、最適な環境を見つけていきましょう。

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この記事の監修者

 

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